映画「終電車」  映画とユダヤ人

映画「終電車に見る「ユダヤ人問題」
1980年のフランス映画です。
1942年ナチスドイツ軍占領するフランスのパリには、占領下時代特有の閉塞感が支配しています。
映画の背景は、夜景と狭い場所での場面描写が基本に成り、ラジオから流れるシャンソンがその時代の色を現わしています。

夫ルカをユダヤ人の為地下に隠し、モンマルトル劇場の看板女優兼支配人となるマリオン・シュタイナーがいます。
マリオンは一人で看板女優そして新演劇の稽古と営業と作業員の世話やドイツ軍との接触・許可等を一人でこなします。
そのあと内密に地下室の夫の世話までしなくてはならないのです。
ルカの妻マリオンは、新人の相手役ベルナールへ惹かれていきます。
夫のルカはそれを見破りますが、責めるより進めるような行動をとります。
物語は映画「終電車」、こちらのブログに書いています。


この映画は、敵か味方かと言う政治的なものではなく、
人間の感情に訴えた映画で、背景として政治状況が描かれています。
私はこれをフランス的描写と呼んでいます。
ユダヤ人問題と言うシリアスな事を恋愛の背景に置くと言う精神を言います。
ユダヤ人狩りレジスタンスの密告・ロマ人迫害時代にあって、特にユダヤ人狩りには
一日に千五百通もの密告の手紙が来る(映画の中でマリオンのセリフ)と言うフランスです。
ユダヤ人排斥運動は、ドイツばかりでなくフランスでも民意として流れています。

2011年2月15日の日本のある新聞に「仏国鉄迫害に唐突な謝罪」との記事があります。
ナチス支配下ユダヤ人の移送に積極的な協力への謝罪。
1942年から44年まで一時収容所移送に協力する。
今まで謝罪を拒否しながら今突然なのは、米国事業受注狙いがあるからだそうです。
フランスの民意としてユダヤ人排斥が行われた事は、欧州キリスト教社会の「ユダヤ人問題」なのです。